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ブータンにおける一夫多妻制という異例の慣習

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ブータンにおける一夫多妻制という異例の慣習
ブータンの独特な文化圏において、女性が二人の夫を持つことができる一夫多妻制という古代の慣習は、長きにわたりこの国の社会構造の一部となってきました。ブータンは37年前にこの一夫多妻制を正式に廃止し、一夫一婦制の婚姻法を採用しましたが、歴史的および文化的な慣習の痕跡は、一部の地域では今もなお残っています。

 

インドと中国に挟まれたヒマラヤ山脈に囲まれた内陸国ブータンは、豊かで多様な文化遺産を有しています。ブータンにおける一夫多妻制は、文化的にも経済的にも深く根付いています。農村部では、一家の財産を守るための一つの手段でもありました。例えば、女性が複数の兄弟と結婚した場合、家系の土地や資源が異なる家族に分割されることはなく、家計の安定が保たれました。また、ブータン社会では、特に過去には、娘が両親の介護を担うことが多かったため、家系の財産のかなりの部分を相続する権利がありました。相続において女性が比較的高い地位にあったことも、一夫多妻制の存在に寄与していると考えられます。

 

しかし、近代化の進展、グローバルメディアの影響、そして外国教育を受けるブータン人の増加に伴い、若い世代はこうした伝統的かつやや特異な文化的慣習から徐々に離れつつあります。今日、一夫多妻制は主にヒマラヤ高地の小規模で孤立した遊牧民のコミュニティで見られます。家畜と共に半定住生活を送るこれらのコミュニティは、今もなお古来の伝統の一部を守っています。ブータンが発展を続け、国際社会との融合が進むにつれ、変化する社会規範や価値観の中で、この独特な慣習がどれだけ長く生き残っていくのかは、まだ不透明です。

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